
海外FXで利益を出すと考えるのは『海外FXって税金高いんだよね。今年の税金大丈夫かな』といったことを考える人も少なくはないでしょう。
2020年の確定申告はコロナウィルスの影響もあり2020年4月16日まで延期されています。これまで確定申告の準備をしていなかった人も、これから確定申告の準備をする人も、この記事を読んだ後には知らなかった海外FXの節税方法を知ることができます。
確定申告前の最後の節税、まだ間に合う6つの節税方法を丁寧に解説していきます。
Contents
海外FXの税金おさらい
国内FXの場合
国内FXの場合FXで上がった利益は申告分離課税としてどれだけ儲けても一律20.315%の税金がかかります。
国内FXの税金の特徴
・申告分離課税
・どれだけ稼いでも一律20.315%
・3年間の赤字の繰越が可能
・他の金融商品との損益通算が可能
海外FXの場合
海外FXであげた利益は雑所得になるため最大55%の累進課税がかかります。
所得 | 税率 | 控除金額 |
---|---|---|
〜195万以下 | 15% (所得税5%+住民税10%) | 0円 |
195万超〜330万以下 | 20% (所得税10%+住民税10%) | 97,500円 |
330万超〜695万以下 | 30% (所得税20%+住民税10%) | 427,500円 |
696万超〜900万以下 | 33% (所得税23%+住民税10%) | 636,000円 |
900万超〜1800万以下 | 43% (所得税33%+住民税10%) | 1,536,000円 |
1800万超〜4000万以下 | 50% (所得税40%+住民税10%) | 2,796,000円 |
4000万超〜 | 55% (所得税45%+住民税10%) | 4,796,000円 |
海外FXの税金の特徴
・雑所得(総合課税)
・15%〜55%の累進課税
・赤字の繰越はできない
・他の金融商品との損益通算は基本的にできない
海外FXは国内FXのレバレッジ規制が対象とならないという点で人気を博していますが税金面だけで見ると毎年420万円以上の利益(所得)を上げる場合には国内FXよりも税金は高くなります。
また赤字の繰越ができず、株式や信託投資などの利益との損益通算は基本的にはできません。
(海外FXの利益と損益通算できるものは非常に限定的です。)
ではボーナス制度やレバレッジ、追証なしなどの取引をするにあたって海外FXを利用している人は多いですが、海外FXで出した利益を節税する方法はあるのでしょうか。
今回は海外FXの合法的な節税方法とそれぞれの注意点などを初心者向けに丁寧に解説していきます。
経費計上する
経費(けいひ)は、「経常費用」の略称であり、一般的には費用のことである。ただし、分野によっては特定の意味を持つことがある。
経費とはつまりその事業において利益を出すために発生した費用のことです。例えば海外FXで100万円の利益を上げるために10万円のPCを購入したとなれば10万円のコストを差し引いた金額が純利益です。
税金はこの純利益に対して課税されるので経費計上するということは最もスタンダードな節税方法になります。
経費計上する際の考え方
経費として認められる場合は『その利益を出すのにそのコスト(経費)が必要であったことを証明』する必要があります。
何でもかんでも経費にすることはできません。税務署が経費として認めますと言って初めて経費にすることができます。
仮にグアム旅行でのお金を経費として認めてもらう場合には『グアムでFXで利益を出すためであったこと』を証明する必要があります。
ただのグアム旅行だったんじゃないのと首を突っ込まれた時に証拠とストーリーは残しておく必要があります。
例えばセミナーなどの映像や写真など、客観的に残しておくことが好ましいでしょう。
経費計上できる可能性のあるもの
- FXトレードの情報取得のために購入した書籍代
- FXトレードの情報取得のために購入したDVD
- FXトレードの情報取得のために参加したセミナー費用
- FXトレードの情報取得のために登録している有料メルマガ
- FXトレードの情報取得のために登録している有料情報サイト
- FXトレードの取引手数料
- MT4で利用する有料インジケーターの購入費用
- MT4で利用する有料EAの購入費用
- 新聞代
- プロバイダー料金
- 光回線・wifi料金
- VPSサーバー費用
- FX会社に問い合わせをする電話料金/携帯電話料金
- 文具・事務用品
- PC/PC周辺機器
- プリンター
- FXトレードのために利用したオフィス、レンタルオフィス、まんが喫茶
- FXトレードのために利用している家の家賃(一部)
- FXトレードのために利用している家の光熱費
- FXトレードで使う机・テーブル
- FXトレードで使うイス
- FXトレードで使う照明
- FXトレードの情報収集で使うテレビ
- 海外FXの情報取得のための英会話費用
- FXトレードの情報収集で使う会食費用
- 海外FX会社のある国への海外旅行費用
- PCのオフィスなどのソフトウェア費用
- 入金用のクレジットカード、デビットカードの年会費
- 海外送金などの送金手数料
- FXトレーダー仲間との会食、接待費用
FXトレードの情報収集のために購入した書籍やDVD、またセミナー費用、情報サイトの利用料、MT4で利用するEA、VPSやPCのネットにおけるプロバイダー費用、またPCそのものの購入費や周辺機器など
関連記事:海外FXで経費計上できるものは?水増し計上は懲役実刑判決?経費可能なものを一覧にしてみた
ECN口座を利用する
海外FXの中にはSTP方式の口座とECN方式の口座があります。
節税も込みで利用するのであれば圧倒的にECN方式の口座をお勧めします。
ECN方式の口座はインターバンクの生のスプレッドにFX業者の一定の外付け手数料が加わります。外付け手数料は取引履歴に残るため取引に発生したコスト(経費)として認められます。
基本的にはSTP方式よりもECN方式の方がスプレッドも狭いので節税対策としても、利益を最大化するにしてもおすすめです。
Axioryの場合
Axioryはナノスプレッド口座というECN方式の口座を提供しています。
スタンダード口座の場合:1.6Pips
ナノスプレッド口座の場合:0.6Pips+0.6Pips(経費計上可能)=1.2Pips
ECN方式の口座の方がトレードコストも下がるし取引コストが客観的に残るためトレードコストとして経費計上することができます。
税金対策を今のうちから考えている場合にはSTP方式よりもECN方式の口座の方がいいのです。
家賃を経費で落とす
家賃も一部経費として落とすことが可能です。持ち家の場合には減価償却費などの維持費用の1部が経費として認められます。
ここでポイントなのは全額経費にすることはできません。
家賃はトレードとは関係ない生活の部分も入っているため、あくまでも海外FX取引の事業使用割合に応じて経費にすることが認められています。
持ち家の場合
持ち家の経費計上することができるのは
・減価償却費用
・固定資産税
・火災保険料
減価償却費用とはその資産(家)を得るのにかかった費用を耐用年数で分割して経費として計上することができるのです。
例えば車や家などの高額な買い物はその耐用年数(利用可能な年数)に応じて費用として計上することができます。
例)3000万円の木造建築の家
耐用年数:22年
減価償却費:136万/年
仮に上記のように3000万円の木造建築の家を購入したとすれば年間136万円までは海外FXで利益を出したとしても経費計上することができるので非課税の対象となります。
減価償却には定額法と定率法がありますので自分に見合った節税方法を考えることが必要です。
家以外にもその事業に必要なパソコンや車なども減価償却をすることが可能ですが各商品に応じて耐用年数が異なりますので詳しくはこちらの国税庁の公式HPを確認しておきましょう。
他の雑所得と損益通算する
海外FXを個人口座でやっている場合は利益は雑所得に分類されます。
雑所得は総合課税となりますので累進課税が適用されますが同じ雑所得であれば損益通算をすることが可能です。
雑所得
・不動産所得(不動産賃貸など)
・一時所得(競馬・競輪など)
・給与所得(会社からの給料など)
・譲渡所得(宝石を中古屋に買い取ってもらう場合など)
・事業所得(アフィリエイトなど)
・配当(株式など)
これらの所得での損失は海外FXと損益通算することができますが、給与所得や配当などはマイナスになることはないので基本的には不動産投資をしている場合に損益通算することが多いでしょう。
海外FXで大きな利益を出しても不動産所得が大きくマイナスであれば損益通算をすることができます。
不動産での損失の経費計上の仕組み
では不動産投資をしている場合の損失はどのように経費計上することができるのでしょうか。
例えば先ほども例を出したように3000万円の不動産を購入した場合新築であれば耐用年数は22年程度ですので毎年136万円を22年間経費として計上することができます。
つまり新築3000万円の不動産投資をしている場合には136万円未満の海外FXでの利益は丸々自分のものになるということです。
しかし建物の構造などによって耐用年数は変わってくるので注意が必要です。
ここでオススメなのが中古不動産投資です。
中古不動産投資
法定耐用年数をすぎた不動産については減価償却が法定耐用年数の20%の範囲であれば経費として計上することができます。
例えば
4000万円の中古不動産を購入
法定耐用年数:22年
22年×20%=4.4年→4年
4000万円の中古不動産が仮に年利5%の利回りだとすれば
4000万円×5%=200万円/年の家賃収入
減価償却が4年間なので
4000万円÷4年=1000万円
1000万円ー200万円=800万円の赤字
つまり毎年800万円の赤字になるので海外FXを含む雑所得で年間800万円の利益を出すまでは丸々自分の手元に利益が残ることになり、これが4年間継続します。
税金も0になりますし、不動産は減価償却後も資産として残りますので節税対策としては有効な手段になります。
※不動産投資の際に土地も購入する場合もありますが、土地は減価償却の対象とならないので損益通算をすることができません。土地は価値が減らないからです。つまり土地価格を抑えて建物費用の高いものが最も減価償却として節税効果が見込めるものになります。
中古の不動産を利用して節税をする場合には不動産を使った節税に詳しい専門家に相談しましょう。
非給与所得者にトレードをしてもらう
海外FXは総合課税ですので給与所得とも合算されます。
仮にあなたが月間100万円の利益を出す凄腕トレーダーであり、かつ年収1000万円のエリートサラリーマンの場合
100万円/月×12ヶ月=1200万円/年
給与所得:年間1000万円
合計所得:2200万円/年
課税率:55%(1210万円の税金)
このような場合は税金対策をあれこれしても限界があります。あなたの奥さんが専業主婦だった場合や子供が海外FXをできる年齢でありアルバイトなどをしていない非給与所得者であればあなたが指示を出して奥様や子供の口座でトレードをするというのも節税の有効な手段です。
仮に3人で運用をしている場合
あなた:30万円/月×12ヶ月=360万+1000万/年収=1360万円
奥さん:30万円/月×12ヶ月=360万
子供:30万円/月×12ヶ月=360万
になりますので課税利率が違いますので大きな節税効果が見込めます。
※家族などの身内であるからといって別名義の口座の取引を自分で行う場合は脱税になる可能性があります。また家族以外の人間の口座を運用することは金融商品取引法に違反することになるので決してやらないようにしましょう。あくまでもトレードの指示やノウハウを教えるだけに留めることが必要です。それでも利益を出し続けることができるかどうかは別問題ですが。
法人化する
海外FXで年間700万円以上の利益がある場合は法人口座を作成する方がいいでしょう。
個人口座の場合は最大55%の累進課税が適用されますが、法人口座の場合は最大30.3%の税金になるので20%以上の節税効果が見込めます。
法人口座は個人よりも経費計上できる範囲が広く、赤字の繰越や他の事業との損益通算なども可能になります。
法人をすでに持っている場合にはいいのですが節税のために法人を新たに作成する場合には法人設立費用や運営費用、毎年の決算なども必要になりますので年間の利益金額によっては法人口座の方がデメリットに働く可能性があります。
しかしそれらの費用を加味した上で年間700万円以上の利益がある場合には法人口座は有効な節税方法になりますので詳しくは以下の記事でまとめていますのでご覧ください。
関連記事:海外FXの法人口座は有効な節税方法?年間いくらの節税になるのか個人口座と比較してみた
給与所得控除
海外FXの口座を法人化することで大幅な節税をすることができますが、その中の1つとして給与所得をうまく活用することが重要になります。
例えば海外FXで年間900万円の利益がある場合で利益を全て社長の給与として利用する
法人口座:0円
社長個人の所得:900万円
→900万円×33%ー636,000円(給与所得控除)
=276万円の税金
=8,724,000円の手残り
法人口座を利用して社長などの役員に利益の全てを還元すると給与所得の扱いになります。すると一定金額の所得控除があるため課税対象金額が引き下げられます。
もし上記の法人口座からの収益を奥さんや息子なども享受するとなればより税金は安くなります。
例)海外FXの利益の教授が3人の場合
年間利益:900万円
社長:300万円-97500円×20%=税金580,500円
奥さん:300万円-97500円×20%=税金580,500円
息子:300万円-97500円×20%=税金580,500円
課税対象金額=1,741,500円
=7,258,500円の手残り
所得 | 税率 | 控除金額 |
---|---|---|
〜195万以下 | 15% (所得税5%+住民税10%) | 0円 |
195万超〜330万以下 | 20% (所得税10%+住民税10%) | 97,500円 |
330万超〜695万以下 | 30% (所得税20%+住民税10%) | 427,500円 |
696万超〜900万以下 | 33% (所得税23%+住民税10%) | 636,000円 |
900万超〜1800万以下 | 43% (所得税33%+住民税10%) | 1,536,000円 |
1800万超〜4000万以下 | 50% (所得税40%+住民税10%) | 2,796,000円 |
4000万超〜 | 55% (所得税45%+住民税10%) | 4,796,000円 |
しかし法人口座にすれば個人口座よりも多くの節税方法がありますがデメリットもあります。
法人口座のデメリット
・利益にかかわらず地方税が毎年7〜18万円かかる
・赤字を出しても決算しなければならない(税理士費用がかかる)
・法人設立に10〜30万円かかる
・役員報酬は一定金額支払わなければならない
脱税はNG!
海外FX業者がタックスヘイブンなどに所在するからといって日本人の利益もバレないわけではありません。
海外FXで得た利益は国税庁や金融庁も必ずマークしています。
あくまでも節税は合法的に法律の範囲内で行いますが、法律の範囲を超えると脱税として追徴課税や重加算税などを支払う義務になる可能性があるので脱税は絶対にやめましょう。
国内FXの税金の仕組み
国内FXの場合FX会社は毎年『損益証明書』をトレーダーに出しています。この損益証明書は確定申告の際に利用することができますがつまり『この一年でどれだけ儲かったか』が記載されているというわけです。
この損益証明書はFX会社から税務署にも同時に提出されています。
税務署は納税者リストとこの損益証明書を照らし合わせて税金が未納かどうかを確認するので脱税をしてその年に税務署から通知がこなかったとしても5年後に追徴課税とともに請求されることになるので脱税しようなどとは考えないようにしましょう。
関連記事:まだ間に合う!海外FXで得た利益の合法的な節税方法を紹介
海外FXの税金の仕組み
海外FX業者は日本の税務署に損益証明書を提出していないからといって脱税してもバレないわけではありません。
実は海外FX業者に入金をする際に国外送金等調書というものがあるので
海外FXに入金する際と出金する際の金額の違いによって損失なのか利益を出しているのかが判明します。
金融機関は1回の海外送金で100万円以上の送金は
・デビッドやクレジットカードでの入金
・国内銀行からの海外銀行送金
・オンライン決済サービス
これらのデータは必ず金融機関に残っているため税務署や国税庁が調べようと思えば一瞬にして見抜かれることになります。仮に仮想通貨を利用して入金したところで日本国内で現金として利用できなければ意味がありませんのでいずれ必ず現金として手元に残す必要があります。
その際に両替したり出金したりすれば『入金の痕跡がないのにどこからこのお金は来たんだ』と首を突っ込まれて脱税として起訴されてしまう可能性もあるので脱税に頭を使うくらいであればトレードの勉強に時間を利用したほうがいいでしょう。
関連記事:海外FXを脱税した場合の処罰は?追徴課税や重加算税はいくら?
確定申告はE-taxで
海外FXで得た利益は確定申告をする必要があります。
確定申告は国税庁のHPにあるE-taxで簡単に申告をすることができます。確定申告の時期は例年違いますが1月1日〜12月31日までの損益を翌年2月〜3月中に税務署に申告する必要があります。
税務署で確定申告書を入手し、手書きし税務署へ持参
e-Taxで電子申告をする
e-TaxのHPで確定申告書を作成し印刷して提出
海外FXの節税方法のまとめ
海外FXの節税方法はいくつかありますので上記の中から自分のできる節税方法を行うことをお勧めします。
しかし節税は合法でも一歩間違えれば脱税になってしまうこともあります。
経費計上できる範囲や新たな節税方法などは税理士や会計士などの専門家にしっかりと確認した上で行うようにしましょう。
くれぐれも海外FXの利益がバレないだろうという曖昧な根拠をもとに税金を未納するということがないようにしましょう。