
・確定申告の手順
・確定申告に必要な書類
・税金の計算方法
・サラリーマンや会社員ができる節税方法
・会社に副業がバレないようにする方法
日本が副業を解禁してはいるものの、企業によっては副業を暗黙の禁止としているところも多々あります。
また会社の役員レベルにもなると平社員は副業ができても自分はなかなかできない。
やりたくてもバレてしまったらどうしようといった不安になることもあると思います。
今回はサラリーマンの方や会社員の方が海外FXで利益を出した場合はどのような手続きが必要なのか。
そして税金の計算方法から会社にバレないようにする方法まで初めての方にもわかりやすいように丁寧に解説していきます。
関連記事:海外FXの税金は?7つの覚えておくべき海外FXの税金基礎知識
Contents
サラリーマンの場合は確定申告が必要
まず海外FXで得た利益は確定申告をする必要があります。
年間2000万円以上の給料をもらっている人は馴染みがあるかもしれませんが基本的には会社から税金の天引きがあるためあまり馴染みがないかもしれません。
確定申告の対象となる人とならない人がいます。
確定申告の対象者
・給与所得者で雑所得による利益が年間20万円を超える人
・年間給与所得が2000万円以上ある人
つまり海外FXで年間20万円を超える利益がある場合、確定申告をします。
関連記事:海外FXで得た利益を経費にして落とせる物をまとめてみた
確定申告とは
※2020年の確定申告は新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて4月16日まで延期されることになった。
海外FXの税金の計算方法は
海外FXの所得は雑所得に分類されるため総合課税の累進課税が対象となります。
海外FXの税率(累進課税)
所得 | 税率 | 控除金額 |
---|---|---|
〜195万以下 | 15% (所得税5%+住民税10%) | 0円 |
195万超〜330万以下 | 20% (所得税10%+住民税10%) | 97,500円 |
330万超〜695万以下 | 30% (所得税20%+住民税10%) | 427,500円 |
696万超〜900万以下 | 33% (所得税23%+住民税10%) | 636,000円 |
900万超〜1800万以下 | 43% (所得税33%+住民税10%) | 1,536,000円 |
1800万超〜4000万以下 | 50% (所得税40%+住民税10%) | 2,796,000円 |
4000万超〜 | 55% (所得税45%+住民税10%) | 4,796,000円 |
総合課税とはつまり他の所得とも合算して合計金額に税金をかける方式です。
国内FXのような申告分離課税は他の所得とは合算せずにそれぞれに一律20.315%の税金がかかります。
給料+『利子所得+配当所得+不動産所得+事業所得+山林所得+譲渡所得+一時所得+退職所得』+海外FXによる利益×税金
関連記事:8割以上が間違えている?!累進課税の正しい認識とは
税金の計算方法
会社員が海外FXで納めるべき税金は所得税と住民税です。
これから行う計算例を見ていただければわかるのですが思っている以上に税金は安くなりますので自分の給料と照らし合わせながらご覧ください。
2:海外FXの所得金額を計算する(海外FXでの利益−経費)
3:その他控除金額を計算する(社保+生保+扶養控除+基礎控除)
4:課税所得金額を計算する(給与所得+海外FX所得−控除金額)
5:所得税の計算をする(課税所得金額×税率−控除金額)
6:復興特別所得税の計算(所得税×2.1%)
7:最終的な税金(所得税+復興特別所得税)
実際は不動産所得や一時所得などもあるかもしれませんが今回はシンプルにするために会社からの給料と海外FXの利益の2つの収入がある場合と仮定します
Aさん
給与所得:300万円
海外FX利益:150万円(経費50万)
の場合
所得税の計算方法
給与所得控除
給与所得 | 給与所得控除 |
---|---|
〜65万未満 | 65万 |
65万〜180万以下 | 収入金額×40% |
180万超〜360万以下 | 収入金額×30%+18万 |
360万超〜660万以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万超〜1000万以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1000万超〜 | 220万円(上限) |
Aさん
<所得金額の計算>
給与所得:300万円
給与所得控除:108万
給与所得金額:292万
<海外FXの所得金額の計算>
150万−50万=100万円
<控除額の計算>
社会保険料等 = 280,000円
生命保険料控除 = 40,000円
扶養控除 = 380,000円(一般扶養親族のうち年齢16歳以上の者1人につき38万円)
基礎控除 = 380,000円
控除額合計 = 1,080,000円
課税所得金額の合計
292万(給与所得)+100万(海外FXの所得)ー108万(控除金額合計)=284万/年
所得税の計算
284万×10%−97,500円(控除額)=186,500円
復興特別所得税の計算
186,500円×2.1%(税率)=3916円
所得税+復興特別所得税
186,500円+3,916円=190,416円
住民税の計算方法
住民税=所得割額+均等割合
均等割は「全ての住民一律に、一定額の税金を課す」方法です。
標準税率
市町村民税・特別区民税:3500円
都道府県民税:1500円
合計:5000円程度(市区町村によって変わる)
市区町村民税 | 課税される所得金額×6% | 均等割り(自治体ごとに違う) |
---|---|---|
都道府県民税 | 課税される所得金額×4% | 均等割り(自治体ごとに違う) |
※住民税は全国どこでも大体課税対象金額の10%(県民税4%と市民税6%)と考えて問題ない。
一部神奈川県(10.025%)や名古屋市(9.7%)のように住民税が変動しているところもある。
控除名 | 住民税の控除額 | 所得税の控除額 | 差額 |
---|---|---|---|
基礎控除 | 33万円 | 38万円 | 5万円 |
配偶者控除 | ~33万円 | ~38万円 | ~5万円 |
配偶者特別控除 | ~33万円 | ~38万円 | ~5万円 |
扶養控除(一般) | 33万円 | 38万円 | 5万円 |
生命保険料控除 | ~2万8千円 | ~4万円 | ~1万2千円 |
地震保険料控除 | ~2万5千円 | ~5万円 | ~2万5千円 |
1:控除額を計算し直す
社会保険料等 = 280,000円
生命保険料控除 = 25,000円
扶養控除 = 330,000円(一般扶養親族のうち年齢16歳以上の者1人につき33万円)
基礎控除 = 330,000円
控除額合計 = 965,000円
2:課税所得金額
292万(給与所得)+100万(海外FXの所得)ー965,000円(控除金額合計)=2,955,000円
3:住民税の計算
2,955,000×10%+5000円(均等割)=300,500円
サラリーマン・会社員が利益を出した場合の納税の手順
会社に勤めている場合は会社が所得税と住民税を計算してくれます。これがいわゆる源泉徴収というものです。
海外FXで得た利益は会社が納税するわけではないので自分自身で納税(確定申告)する必要があります。
※この確定申告をしない場合会社に副業をしていることがバレてしまいます。会社に副業がバレたくない場合には必ず確定申告をしましょう。
確定申告とは
その年の1月1日〜12月31日までの収入,支出,医療費や扶養親族などの状況から所得を計算した書類(申告書)を作成して申告時期(2月16日〜3月15日)までに税務署へ提出し納付するべき所得税額を納めること
その1:必要書類をまとめる
まず必要となる書類を用意しましょう。会社員で給料をもらいつつ海外FXでも利益を上げている場合
・源泉徴収票をもらう
・海外FXの年間の収支をだす(MT4の履歴)
・海外FXでの経費(領収書)をまとめる
会社→源泉徴収票をもらう
海外FX→MT4もしくはマイページから年間収支をダウンロード
海外FXでの経費→領収書
控除がある場合は
- 社会保険料の控除証明書
- 医療費の明細書、領収書
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
も同時に準備をする必要があります。
どのタイミングで収支を合わせるのか
収支を確定させる場合は1月1日以降がいいでしょう。
前年の12月31日までの取引履歴をダウンロードします。海外FXの税金が発生するタイミングは利確をした時点ですのでまだ含み益を持っている場合には課税対象外です。
基本的に「源泉徴収」と「確定申告」は、重複して両方行っても問題はありません。
その2:確定申告書類を作成する
確定申告書類を作成します。税務署に足を運んで用紙をもらうこともできますが基本的には国税庁のHPから確定申告書類をダウンロードすることができるのでそこから作成します。
その後E-taxや郵送にて確定申告書類を提出する方がオススメです。
国税庁の確定申告書類
出典:国税庁-確定申告書等作成コーナー
その3:作成した書類を提出する
作成した書類は郵送もしくはE-taxで電子送信することができます。
E-taxとは所得税や法人税、地方法人税などを含む国税に関する手続きにおいてインターネットを通じて電子的に手続きが行えるシステムです。申告書等を電子データにてやりとりすることができます。
E-taxのメリット
・添付書類アドの提出が省略できる
・還付が早い
デメリット
・マイナンバーカードが必要
・ICカードリーダライタが必要
→これらがない方はE-taxではなく郵送による提出をしましょう。
書面提出のメリット
・E-taxが使えない方でも対応が可能
デメリット
・添付書類の用意や郵送などの手間がかかる
その4:納税する
確定申告の書類に基づいて所得税の納税額が決まります。所得税の納税期日は3月15日までです。
納付方法
・振替納税で納付
・e-Taxで納付
・クレジットカードで納付
・QRコードでコンビニで納付
・金融機関又は税務署の窓口で現金で納付
がありますので最も手軽な納付方法を選択しましょう。
国税庁:納税の方法
インターネットに慣れている場合はE-taxで納付してクレジットカードやQRコードで納税するのが最も手早いでしょう。
住民税や固定資産税などは税金を納めた後に納付書が送られてきますが所得税の場合は税務署から納付書が送られてくることはありません。
その5:資料を保管する
確定申告の際に経費の証明書である領収書を税務署に送る必要はありませんがいつ税務署が『この経費は何の経費ですか』と聞かれても大丈夫なように領収書などは保管しておくようにしましょう。
保管するべき期間は
青色申告の場合:7年間
白色申告の場合:5年間
確定申告は印刷して控えとして保存しておくことができます。海外FXの収支と確定申告の控え、そして経費に利用した領収書は年度ごとにまとめておくようにしましょう。
よくある質問
Q:海外に転勤中に海外FXで得た利益はどうなりますか
A:期間によります。1年以上海外に住んでいる場合は日本国内で得た利益以外は課税対象外となります。
所得税法において日本以外の外国に1年以上住んでいる場合は日本の非居住者として扱われます。非居住者であれば日本国内で得た利益以外は日本への税金の支払い義務がありません。
例えば1年前以上前からフランスに単身赴任をしていたとします。そして1年間海外FXで得た利益はフランスの納税金額に則って納税をする必要があります。
Q:給与との損益通算はできますか?
A:できません。
給与所得と雑所得は同じ総合課税ですが所得区分が違うので損益通算をすることはできません。
Q:赤字の繰越はできますか?
A:海外FXの利益は赤字の繰越ができません。
国内FXの場合は3年間の赤字の繰越をすることができるため確定申告をしていれば3年前までの赤字と損益通算をすることができますが海外FXはできません。
しかし同じ雑所得同士であれば同年内で生じた損失と損益通算することができます。
同じ雑所得収入には『Youtubeやブログなどで稼いだお金/仮想通貨/バイナリーオプション』などがありますのでこれらの損失と海外FXでの利益を相殺することは可能です。
Q:去年確定申告をし忘れていました。どう対処すればいいですか?
A:税務署に行って昨年度の確定申告をしましょう。
確定申告の時期でもある3月15日までに納税をしていないと無申告加算税の対象となります。また長引くほど税金が大きくなっていく延滞税もスタートします。これらの税金はそれほど大きくないとはいえ
税務署に調査されてから支払う場合の税金は、自分から自主的に税務署に行く場合の3倍程度大きくなりますので税務署の調査が入る前に必ず申告しに行きましょう。
サラリーマンが利益を出した際の節税方法
経費を増やす
確定申告をする際経費として認められるものはあります。
経費になるのはあくまでも海外FXで利益を出すために必要であったコストであり、プライベートや全く関係のない娯楽に使用した費用は経費にすることはできません。
税務署の人間が納得するように説明することができればたとえ海外旅行でもキャバクラ代金でも経費にすることはできます。
※領収書の提出はありませんので何でも経費にできると思うのは危険です。水増し計上をすることで重加算税などの対象となり余計な税金を支払うことになるので経費にできるかどうかは専門の会計士や税理士に確認しましょう。
経費にできるもの
- FXトレードの情報取得のために購入した書籍代
- FXトレードの情報取得のために購入したDVD
- FXトレードの情報取得のために参加したセミナー費用
- FXトレードの情報取得のために登録している有料メルマガ
- FXトレードの情報取得のために登録している有料情報サイト
- FXトレードの取引手数料
- MT4で利用する有料インジケーターの購入費用
- MT4で利用する有料EAの購入費用
- 新聞代
- プロバイダー料金
- 光回線・wifi料金
- VPSサーバー費用
- FX会社に問い合わせをする電話料金/携帯電話料金
- 文具・事務用品
- PC/PC周辺機器
- プリンター
- FXトレードのために利用したオフィス、レンタルオフィス、まんが喫茶
- FXトレードのために利用している家の家賃(一部)
- FXトレードのために利用している家の光熱費
- FXトレードで使う机・テーブル
- FXトレードで使うイス
- FXトレードで使う照明
- FXトレードの情報収集で使うテレビ
- 海外FXの情報取得のための英会話費用
- FXトレードの情報収集で使う会食費用
- 海外FX会社のある国への海外旅行費用
- PCのオフィスなどのソフトウェア費用
- 入金用のクレジットカード、デビットカードの年会費
- 海外送金などの送金手数料
- FXトレーダー仲間との会食、接待費用
関連記事:海外FXで経費として申請できるもの一覧をまとめてみた
控除を利用する
サラリーマンや会社員であるからこそ節税のために利用できる控除があります。
・「ふるさと納税」
・個人型確定拠出年金「iDeCo」
・セルフメディケーション税制(医療費控除)
・特定支出控除
・両親への仕送り(扶養控除)
・住宅ローン控除
ふるさと納税
ふるさと納税は寄付金の扱いになるため寄付額(ふるさと納税額)から2,000円を引いた金額が所得から控除されます。
節税にもなりますし、地方の特産品などの特典が受けれるのでお得な節税方法です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
毎月一定の金額を積み立てることによって60歳以降に一時金を受け取れる個人年金です。
積み立てる金額は控除の対象となルため節税かつ将来の備えに回すことができます。
セルフメディケーション税制
スイッチOTC医薬品(医師から処方される医薬品から薬局で購入できるように転用されたもの)の購入額が12,000円を超えた場合、上限88,000円まで控除できる制度のことです。
所得から控除されるため所得税も減額されます。
控除する場合には必ず領収書を保管しておくようにしましょう。
特定支出控除
給与所得者が普段会社で業務を行う上で経費として認められるものに対する支出が所得税税の控除金額の半分以上の場合、超えた金額を所得税控除として活用することができます。
たとえば給与所得控除が38万円で通勤費用やスーツ代金が合計20万円の場合は
38万÷2−20万=−14万
14万が所得から控除されます。
その他特別支出控除に該当する者
・通勤費
・転居費
・研修費
・資格取得ひ
・帰宅旅費
・図書費
・業務用衣服
・接待交際費
など
両親や子供への仕送り
6親等内の血族及び3親等内の姻族に対して生計を一つにしていた場合その人の年間所得が38万円未満の人を扶養控除対象とすることができます。
また両親、兄弟、子供に対して仕送りをしている場合相手の年間所得が103万円以下の場合は扶養控除の対象とすることができます。学生などで103万円以上稼がないようにしているというのは両親が子供を扶養控除の対象としているからです。
住宅ローン控除
10年以上のローンを組んでマイホームを購入した場合、毎年10年間は年末のローン残高の1.0%に当たる金額を所得税から控除することができます。
たとえば(単純計算なのでイメージだけつかんでください)
3000万円のマイホームを30年のローンで購入
年間:100万円のローン支払い
1年目:(3000万−100万)×1.0%=29万円
2年目:(2900万−100万)×1.0%=28万円
※実際には銀行への支払い金利などもあるためざっくりとした計算をしましたがこのように住宅ローンも控除の対象にすることが可能ですので所得税を減らすことができます。
まとめ
海外FXの税金は会社員の場合給料と合算して課税されます。しかし実際は利用可能な控除金がたくさんありますので自分が利用できる控除や経費は最大限活用して所得税を減らすことができます。
もし会社が副業を禁止しているようであればバレるとすれば住民税の金額でバレることになるためその際には確定申告で海外FXの税金は自分で払うように設定することが重要です。
これさえ知っていれば会社員でも会社にバレることなく、海外FXで利益を出しても十分節税することができます。