よくニュースなどで『1バレル50ドル』ですなどという言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
国際的な指標はブレント(BRENT)ですが世界経済の中心であるアメリカの原油価格の指標となるのが今回お伝えするWTIなのです。
FX取引をしていると商品のシンボルに『OIL』や『Crude』などと表記されていますがこの機会にWTIとはなんなのか。
そしてWTI価格が世界経済にどのような影響を与えるのかということをしっかり理解しておきましょう。
Contents
WTIとは
WTIとはWest Texas Intermediate (ウェスト・テキサス・インターミディエイト)の略称です。
主に米国南部のテキサス州とニューメキシコを中心に算出される原油の総称のことであり1つの油田原油を表すものではありません。
WTIはアメリカ国内で算出される原油の6%を占め、世界で算出される原油の1〜2%を占めています。
WTI先物取引
このWTIはニューヨークマーカンタイル取引所(New York Mercantile Exchange)で"NYMEX Light Sweet Crude"として取引されていますがなぜ『Light Sweet Crude』という言葉がついているのでしょうか。
実はこのWTIは含有硫黄分が少ないので軽質のためガソリンや軽油が多く取ることができます。
このガソリンや軽油は民間の暖房用油やジェット燃料、車のガソリンなどになりますがこのような高品質な原油のことを『軽量スイート原油』と呼びます。
軽量=Light
スイート=Sweet
原油=Crude
WTIをまとめるのであればニューヨークマーカンタイル取引所で取引される米国産の原油だと思っていただければ問題ありません。
実際にはニューヨークマーカンタイル取引所以外にも、ロンドン国際石油取引所(IPE)や中東ドバイ産原油を標準とする東京工業品取引所(TOCOM)などでも取引されています。
ニュースでよく報道される『1バレル60ドル』というのは実際にスポット価格ではなく原油先物の価格なのです。
WTIの取引方法は2種類ある
WTIの取引方法は2つの方法があります。
・公開での競売取引(A.M.9:00~P.M.2:30)
・時間外での電子取引(P.M.6:00~P.M.5:15)
実際に現物を取引しているのは公開で取引されている競売での取引ですが米国でバイヤーでない以上普通は時間外での電子取引にての参加をするのが一般的です。
公開での競売取引(A.M.9:00~P.M.2:30)
公開での競売取引は実際の現物取引ですが供給量が限られているため時間外での電子取引と比べてそこまで大きな取引にはなりません。
時間外での電子取引(P.M.6:00~P.M.5:15)
WTIの時間外での取引は午後6時〜翌日午後5時15分までの23時間15分間取引が可能です。
毎日45分間の休止時間がありますが毎週日曜から金曜の6日間の間はいつでも取引をすることができます。
WTIの価格が世界中で有力な指標の理由
WTIの価格が世界中で注目されている理由としては
・取引量の多さ
・世界の中心アメリカ経済への影響
WTIの取引量の多さ
WTIの実際の産出量は100万バレル/日(159,000,000リットル)ですが実際の取引量はその100倍の1億バレル/日を誇ります。
WTI先物取引は日本では『NY原油先物』や『ニューヨーク原油先物』と表記されます。
世界の中心アメリカ経済への影響
世界の中心でもあるアメリカは世界のGDPの20%を占めます。そして米国経済の70%を支えるのが個人消費です。
WTIの価格が上昇するということはガソリン価格の高騰やその他石油関連製品の価格上昇となり個人消費を抑えることにもなります。個人消費が少なくなれば米国経済も発展していきません。
そしてアメリカ経済が低迷してしまえば世界中の国々に影響を与えることになります。
日本への影響も無視できない
日本が輸入している原油は主にドバイなどの中東からですがこのドバイの原油価格に大きな影響を与えるのがWTI先物価格です。このWTI価格の変動が日本の石油価格などへ大きく影響します。
WTI価格の歴史
WTIの価格は過去に何度も大きな値動きを起こしています。FX取引の醍醐味とも言えるボラティリティですが大きなリターンを狙うのであればWTIのように値動きの活発な商品を取引するといいでしょう。
ではWTIの歴史について簡単に解説していきます。
1990年の湾岸戦争での価格急騰
1990年代、1バレル20ドル前後で推移していたものの湾岸戦争勃発とともに1バレル40ドル前後まで跳ね上がりましたが翌年には元の水準まで戻っています。
20ドルの乱高下を繰り返した後1994年には1バレル15ドル近く下がったものの大きな値動きはありませんでした。
1998年に最低記録を更新
1998年には歴史的最低価格でもある1バレル10ドル以下になりました。過去最低記録を更新したのは原油の開発が進んだことが原因です。原油開発が進むことによって独占市場が崩壊するため供給量が大きくなり価格は減少するのです。
しかしその直後には世界経済は活性化していったので需要も急増し大幅な上昇トレンドに転じることになりました。
10年後の2008年には過去最高記録を更新
1998年に過去最低価格をつけた10年後の2008年には1バレルあたり133ドルの過去最高記録をつけました。2008年といえばリーマンショックですよね。サブプライムローンショック(リーマンショック)が起こり資源価格が高騰したことが原因です。
リーマンショックは一時的なものでもあったため翌年の2009年には1バレルあたり40ドルまで急落しているため年間で3分の1まで下落してしまいました。
2015年の下落
シェールオイルの生産が拡大したことによる石油価格の下落です。
2014年から2015年にかけて1バレル100ドルだったのが1バレル50ドルまで下落しています。もし100万円投資をしていたら1年間で50万円まで半減してしまうというのですから恐ろしいですよね。
これはサブプライムローンで怒った急騰に次ぐ2番目の大きさですが原因はシェールオイルの生産です。シェールオイルは原油よりも生産コストが安いため石油に代わる新たな資源として注目されるようになったからです。
2015年の下落
2014年から2015年にかけて、1バレル100ドルだったのが、1バレル50ドルまで下落しています。この落差はサブプライムローンで起こった急騰に対する反動下落に次いで、二番目の大きさです。世界経済の減速に加えて、シェールオイルの生産が拡大したことが原因になります。
WTI価格の変動要因
WTIの価格が変動する要因として
・中東の政治情勢
・景気の拡大/後退
・原油在庫の増減
・金利の上昇/低下
などがありますがWTIの価格変動(ボラティリティ)はFX通貨よりもはるかに大きいのです。
中東での政情不安定(戦争やテロ)
WTIの価格は戦争やテロが発生すると影響を受けます。
それは戦争が始まると原油の価格が進まなくなる警戒感から価格が上昇してきました。なぜなら戦争が起こると敵国のジェット機やエネルギーである石油系に狙いを定めるからです。
しかし近年は戦争やテロが発生するとWTIの価格が下落する傾向にあります。戦争やテロで石油がなくなってしまったとしてもシェールオイルを使うことができるため石油は度外視される傾向にあります
WTI価格は新興国の経済発展に比例する
WTIの価格は新興国の経済発展にも比例します。日本でもオイルショックの際にトイレットペーパーがなくなってしまったということは体感した人もいればなんとなく聞いたことがあるという人もいるでしょう。
このように原油は燃料などで企業に利用される他にも私たち一般消費者の身近な生活用品にも多く利用されています。新興国は人口が多いのでそれだけ生活必需品の需要、つまりは原油の需要も多くなります。
中国やインド、東南アジアの中には経済発展が顕著な国がいくつかありますがこのような国々が経済発展する際には原油は欠かせない資源なのです。これらの国々が経済活動を活発化させる際にはWTIの価格が上昇する傾向にあります。
投機筋による参加
WTIの価格は実際に産油量と消費量(供給と需要)だけで決まるものではありません。むしろ実需とは別のところでの影響の方が大きいのです。
CFDを始め、原油は金融商品の1つ隣世界全体の原油の取引額は100兆円に上ると言われています。
原油価格には投資家の思惑が影響することもあり過去にはたった1%の供給増加の影響で価格が3分の1まで下がったこともあります。これこそ実需による価格変動ではなく金融市場の投機筋による価格の変動です。
昨今では株式市場や金融市場の不安定化から原油への資金移動が顕著になってきています。さらなる投機マネーの影響で原油価格が乱高下することは実態世界にも大きな影響を与えることになるでしょう。
2020年4月にWTI価格が下落した要因
WTI価格が下落した要因としてコロナショックの影響とOPECプラスで産油国の減産に合意したからです。
コロナショックの影響
コロナショックの影響で世界中の工場は生産を停止したり特に航空便の数が減少したことで原油(石油)の消費量が格段に少なくなりました。
その影響もあり石油の需要が減ったことで原油価格が大きく下落するようになりました。
OPECプラスで減産に合意した
WTI価格の下落要因としては石油輸出機構(OPEC)とOPEC日加盟国であるロシアなどのOPECプラスにおいて日量970万バレルの減産が合意されました。
この減産の背景としてはシェールガス革命があります。シェールガスも天然資源として注目されていますが原油よりも生産コストが安いためいわば原油のライバルが現れたのです。
そこで原油の産出国はシェールガスよりも低価格にしようと産出量を増やす作戦に出ました。しかし結果的に原油価格が安くなって自国の経済収入が悪くなり減産に向かおうとしましたが2020年3月上旬には減産の合意は決裂しました。
しかし2020年4月10日には新型コロナウィルスの影響もあり供給量の方が多くなってしまうこともあり減産合意に至ったのです。
それでもまだ供給量の方が多いためWTI価格は下落を続け歴史的稀に見る原油安となっているのです。
原油取引をするならXMTradingがおすすめ
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そして買いも売りもどちらもスワップフリーの状態で取引をすることができ、万が一ロスカットでマイナス残高を出してしまったとしても追証なしのゼロカットなのでリスクは最大でも入金額までです。
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ノーリスクから原油取引ができる数少ないFX業者ですね。
WTIまとめ
WTIはアメリカのみならず世界的に影響を与えます。
原油はボラティリティが高いので取引をする際には世界経済を把握しておく必要があるので原油の価格変動に影響するものや経済指標などもさらに調べていくようにしましょう。